『不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~』
というタイトルのレポートを巡って色んなところで議論になっているので、自分としての意見も考えてみました。
話題のこのレポートは、経済産業省の「次官・若手プロジェクト」が発表したものです。
(レポート原文はこちらのリンクから)
ちなみに次官・若手プロジェクトとは
- 昨年8月、本プロジェクトに参画する者を省内公募。20代、30代の若手30人で構成。メンバーは担当業務を行いつつ、本プロジェクトに参画。
- 国内外の社会構造の変化を把握するとともに、中長期的な政策の軸となる考え方を検討し、世の中に広く問いかけることを目指すプロジェクト。
- 国内外の有識者ヒアリング、文献調査に加え、2つの定期的な意見交換の場を設定。
(レポート原文より引用)
まぁつまるところ、お役所(経産省)の若手が集まって日本の将来をどうすべきかということを議論して、その結果をまとめたレポートってことですね。
レポートに対する反応
で、このレポートに対して賛否両論色々な意見が出てきているのですが、
筆者の感覚からすると批判的な意見が多いなぁというのが感想です。
その批判の内容としては、
- 今さら感があって何ら新しい内容はない
- 役人の上から目線による偏った考え
- だから何?的な内容にとどまっている
といったものが多いように見受けられます。
経産省ペーパーのゴミなとこは、「生活できる金もない、仕事もない」という人が今の日本にはかなりの数いることを無視して、「お金だけじゃ幸せになれない」みたいな話をしてるとこ。いつまで成熟した先進国のつもりでいるんだよバカ。
— GDP Target (@gdp_target) May 21, 2017
某経産省のスライド、あれが何にどう繋がるのか理解できないんだけど読んで何か行動が変わった人はいるんだろうか
— tsugitta (@tsugitta) May 21, 2017
中でも割と強めなトーンで批判をしているのがこちらの記事。
あ、ちなみに筆者のスタンスはこのレポートをポジティブに捉えています。さらに特定の記事の内容には批判的な意見を持っていますが、その記事の著者に対する批判などでは一切ありません。
レポートに対する批判記事
という前置きのもと先ほどの記事。
この記事の内容も冒頭に挙げたような批判の内容になっています。
確かにここで書かれていることの中にも、そうだなと思う部分はあります。
例えば、
若手官僚であることを巧妙に利用し、これまでの政策の何が正しく、何が間違っていたのかを論じないまま、社会の問題を断じるのは卑怯である。
という部分については、若手官僚であることを巧妙に利用しているかはさておき、これまでの政策の振り返りが十分にできているのか、という点は疑問に思う点ではある。
ただ、この記事で一番気になるのは終盤の一節で以下のように書かれていることです。
この若手であることを上手く利用した主張というものは、ベンチャー社長、社会起業家、意識高い系の得意とするところであるが、この愚策を官僚も取り込んでしまったということか。いや、若手官僚の自主的な集まりならまだしも、METI自体が、若手を巧妙に利用しているのならタチが悪い。いわば、彼らこそが御用若者、プロ若者だ。
確かに、このレポートの内容として真新しさはないものの、筆者としてはレポートの大枠のストーリーには共感しています。
つまり、「高齢者を一律に高齢者として捉えるのではなく個別の状況に応じて働ける人は働いてもらい、現役世代の負担軽減、特に教育への投資に向けていく」というストーリーについてです。今後ますますの高齢化を考えるとその対策は急務であり、まさに「見逃し三振」はしたくないと考えています。
筆者のように、このレポートを読み、その「内容」を吟味し、(主に)若者が同じような問題意識を持つことはとても大切なことだと思います。
しかしこの批判記事ではそのストーリーの内容の是非に特に触れられることなく、「経産省が若手を巧妙に利用している」ことに対する批判で終始しているように思えるのです。
つまり、その内容・ストーリーに対する批判もさることながら、このレポートが発信されている「体裁」についての批判であり、このような批判により問題の所在が「体裁」に移ってしまうことで、もっとも議論されるべきであるそのレポートの「内容」が置き去りになってしまうことを筆者は懸念しています。
経産省が「若手」という体裁を利用しているか否かは知る由もありませんが、少なくとも経産省の若手が書いたとされるこのレポートにより、日本の若手が何かを感じ、今の日本の現状に思いを巡らせることはとても大切だと筆者は考えているので、それを鼻で笑うような姿勢は全く建設的ではないと思います。
何か若い奴が青いこと言ってるなぁ、みたいな冷めた老害的な考えでなく、若手ではない方々も含めて日本の未来の若者のために何が必要かということを議論したいものですね。このレポートがそのきっかけになることを祈ります。
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